スペースごとのやったこと・やらなかったことの最終回です。
浴室でやったのは、簡単な設備の交換のみ。玄関ではリノベ後のお客さまの反応から、意外なことに気づきました。
●やらなかったこと:靴箱の造り替え
玄関の靴箱をはじめ、今回のリノベでは、収納にはまったく手を加えませんでした。
ドアを交換しなかったのと同じく、1か所だけ新しくすると、見た目がちぐはぐになってしまうためです。
この靴箱も古くさい木目柄ですが、まわりのドアと同じなので、少なくとも違和感はありません。
ここでも古い内装に周囲を合わせることで、コストをかけずに統一感を保ちました。
◎やったこと:クッションフロア
玄関ホールはリビングとキッチンにつながっているので、どちらかの床と同じ素材にするのが自然です。
リビングに揃えるとオークのフローリング、キッチンに揃えるとクッションフロアになりますが、やはり安価なのはクッションフロア。
雨の日に濡れても気にならないし、直接すわったりする場所でもないので、クッションフロアで十分だろうと思いました。使ったのはキッチンと同じ「サンゲツ」の製品です。
リノベしてみて気づいたのですが、この家でゲストの目にまっさきに入るのはこの床のようです。
靴を脱いだりスリッパを履いたりするために、目線が下を向きやすいからかもしれません。
色や柄に意外性があるらしく、はじめて来てくれた友人にはもれなく「何これ!」と突っ込まれます。
よく「玄関は家の顔」といいますが、じつは棚の上に飾ってあるものよりも、玄関の床がその家の第一印象になるのかもしれません。
(思えば、これまでの住宅取材でも、玄関ホールの床を憶えているお宅はけっこう多いです)
●やらなかったこと:ユニットバス
じつは浴室だけは2016年ではなく、2015年にリフォームしています。
きっかけは、千葉にある実家が引っ越すことになり、ガス給湯器と浴室煖房機がいらなくなったこと。
それを譲り受けて、わが家に取りつけることになったのです。
そのため、実家の給湯器を取り外してくれた施工業者さんに、取りつけもお願いすることになりました。
わが家にもともとついていたのは、昔ながらの「バランス釜」という湯沸かし器と、据え置き式のバスタブ。
壁と床はタイル張りで、いわゆる在来工法のおふろでした。
リフォームの選択肢のひとつは、壁も床も壊してユニットバスを入れる方法です。
そのほうがあたたかいし、掃除もしやすい。ただ、工事にも設備にも相応のコストがかかります。
もうひとつの選択肢は、内装はそのままで、バスタブだけを交換する方法。これだとバスタブ代と設置費用だけで済みます。
結局、私たちが選んだのは2つ目の選択肢でした。
バスタブは、内側に凹凸のないシンプルな箱型のものを、自分たちで探して施主支給しました。
バスタブそのものは3万3000円。フタや水栓、バスタブの下に置くスペーサー、送料などを含めると、施主支給の費用は6万円ほどでした。
(写真の左に写っているのはシャワーカーテンです。入り口のドアと洗濯機が濡れないように使っています)
施工に12万円、ガス工事に3万円ほどかかり、トータルのリフォーム費は約22万円になりました。
在来工法の浴室は冷えますが、窓のペアガラスと浴室煖房機のおかげで、冬も快適に入浴できています。
タイルは目地がカビやすいといいますが、わが家は窓が2つあって風通しがいいので、その問題はほとんどありません。
もし風通しが悪くてカビなどで悩んでいたら、コストがかかってもユニットバスを選んでいたと思います。
次回は一区切りの最終回。コストについてのまとめなどをお届けします。
※こちらはローコストな家づくりを取材して25年になる住宅ライター後藤由里子さんの記事です。
自宅マンションを低予算でリノベーションした経験や、家づくりに関わるさまざまな立場の人からうかがった話などをお伝えします。
東京・神楽坂でリノベ相談にもお応えしています。
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https://note.com/writer_goto/n/n23343d33d2b7