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神楽坂の気になる人たち

2017.05.25 知恵と工夫と情熱のジュエリーデザイナー、小出あゆ子さん

神楽坂で働く気になる人。
第3回目にご登場いただくのは、
ジュエリーデザイナーの小出あゆ子さんです。

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小出さんは地方と東京の二重生活を続けていらっしゃる方で、
ログハウスのご自宅が山梨に、
居心地のいい小さなサロンが神楽坂にあります
サロンは小出さんのセンスが光るとても素敵な空間です!

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玄関を入ると古い着物をリメイクした暖簾と鶴のオブジェが。どれも小出さんお気に入りの物。

 

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こちらがサロン。お客様は椅子に座ったりふかふかのカーペットに座ったり。畳も和みます。

 

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アンティーク好きの小出さんが少しずつ集めた逸品も気になります。

こちらのサロン、私たちひとまちっくすのスタッフも、
何度かお邪魔してるんですが、
あまりにも居心地がよくてあっという間に時間が過ぎちゃうんです。
使わずに眠っているネックレスのリフォームをお願いしたり、
お気に入りの石を指輪にしてもらったりと、
みんなそれぞれ小出さんにはお世話になっているんですよ。

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小出さんはもともと金融会社に勤めていましたが、
ご主人に「自分の好きなことしなさいよ」と言われ、
大学時代に彫金教室に通っていたこともあり、
会社を辞めてジュエリーメイキングを学びはじめたそうです。

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ハート、スペード、クローバー、ダイヤをあしらった指輪。正確な角度は左90度です(^_^;)

 

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受賞歴はタヒチアンパールトロフィージャパン ブレスレット部門第1位受賞。JJA(日本ジュエリー協会)ジュエリーデザインアワード優秀賞受賞など。

そのときの学校選びがいかにも小出さんらしく、
「お洒落なロケーションよりも実践力を身につけるために」
宝石問屋街の御徒町にある学校に通学。
自分の技術力を生かせるジュエリーデザインの勉強に
特化していきました。

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神楽坂の石畳をイメージしてデザインした指輪。

小出さんのジュエリーデザインに対するこだわり、
デザインの工夫、素材集めにに共通するのは、
自分が納得できるまであきらめないこと
そのための労力は惜しまないどころか、
むしろ楽しんでいるようにさえ見えます。

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ゴージャスかつ上品な作品も得意です。

 

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こちらは実物のコインを切り抜いて制作したピアス。

ジュエリーデザインをはじめて20年。
特に意識していることは、
お客様の情報をできるだけ多く引き出すこと。
その人のファッション、好きな音楽、食べ物、
趣味、嗜好、性格にいたるまで、
ジュエリーと関係なさそうなことも
デザインを考えるうえでとても大切な情報と
小出さん。

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パッと目を引くネックレスと指輪。

さらに今回はじめて聞いて驚いたのは、
基本的にお客様には2パターンのデザインを提案し、
どちらかひとつを選択してもらった後でも、
自分が気に入らなければ再度一から作り直してるんですって!
そこまでやっていたとは知りませんでした〜〜!!畏れ入ります。
もちろんその際にかかった職人さんへの工賃は自腹よ!」と
笑う小出さん、格好良すぎます!!

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写真では見づらいですが実物はもっと素敵です!

ではここで、小出さんの職人魂がよくわかる例を
いくつかご紹介しましょう。
まずはこちらのトルコ石のペンダント。

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トルコ石にはチェーンよりもラバーがピッタリ。

製作過程について、小出さんに解説いただきました。
「トルコ石(およそ5センチ四方)を使って
ホワイトゴールドでペンダントヘッドを、というご依頼でした。
廉価でとご希望でしたのでK18より安価なK10ホワイトゴールドを使用。
でもバチカン(チェーンを通す輪っか)をつけるだけじゃつまらない。その方はシンプル好みだったので石の周りはあっさりとした枠、
チェーンもラバーを使用したいということでしたが、
四方から吊るせるようにチェーンを入れる場所を工夫しました。

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ラバーを吊す場所によって見え方が変わります。

位置決めはかなり大変でした。
でもシンプル好きを標ぼうしている人に
額面通りシンプルに作るとがっかりされるので、
女心をくすぐる小さいメレダイヤをさりげなく枠に入れる工夫も。
結果、とても喜んでいただけました!」

一方、思い出深くてそこそこ高価なデザイン例はこちら。

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婚約指輪をリフォームしたときのイメージが伝わるように粘土で細工しています。

「この指輪の持ち主は20年来の友人で一番のご贔屓さん。
エンゲージリングのリフォームは
旦那様のお許しが出るまで20年もかかったのです。
そのためなるべく彼の顔を立ててオリジナルリングの様に上品にしつつゴージャス好きの奥様のお好みも反映するデザインに。

もともとの婚約指輪は1.3キャラットあるけれど、
奥様はもっとボンバーなものが欲しいということで
写真左側の粘土タイプにしました」

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こちらが完成品。

「制作のもう一つのこだわりとして
他のデザイナーと一線を画していることは、
レンダリング(立体デッサン)以外に
粘土で原寸大の原型を作って見せていること。
粘土の質感が邪魔する部分はレンダリングを見てもらい、
レンダリングで足りない立体感を粘土原型でチェックできる
というメリットがあります」

ええ!
ここまで丁寧にプレゼンするデザイナーさん、いませんよね??

「粘土サンプルは真ん中に1.3キャラットのダイヤをセッティングして、
周りにメレダイヤをぐるりと囲むことで
3キャラットくらいに見える効果を生み出しています」

これこれ!
小出さんは実際お客様からお預かりするジュエリーの
何倍ものキラキラ度を高める技をいくつもお持ち
なんですよ。

「さらにリングが以前より5ミリぐらい高くなったので
リングの下部の隙間部分には透かし模様を四面入れています。
この透かし模様には家族全員のイニシャルを
デザイン化したものを入れる(KとTとY)、、、などなど」

顧客の喜ぶ顔のためならどこまでも……。
小出さんの飽くなき探求心には本当に頭が下がります。
結果、この作品は「旦那様もお嬢様も大満足で
他のお客様からは美術館級とおっしゃっていただきました。
新しいダイヤを使って同じデザインをハリーウィンストンで作ったら1500万円と言われてもおかしくないわよ、
とある友人に言われた」そうです。
実はそのご友人、本当にハリーウィンストンの上客でした。
でも実際にかかったお値段はン十万円だったとか!?

ここまでお読みいただいた方はもうお分かりだと思いますが、
小出さんは“オリジナリティの塊のような職人”なのです。
ご本人にそう言うと、

「昔からよく主人に、
“人の言うことを聞かない”と言われてきたのですが、
最近ようやくその意味が分かってきました。
若いころから雑誌とかデパ地下とか好きじゃなく、
自分でもなんでそんなにひねくれ者なんだろう?と
疑問に思ってきました。でも、今思うにそれは、
上げ膳、据え膳がいやなのでしょうね。
逆に言えば何でも自分でやらないと気が済まない。
まあ自我が強すぎるともいいますが(笑)」

「でも最近はデザイナーたるもの快楽主義でわがままな人じゃないと
信用できないよなあとすら思うようになりました。
こだわりが強くてありきたりのものじゃ満足しないということは、
いざ作る側になったら自分でもそういう完成度にしない事には
満足しないということだから。
なんでも顧客の言いなりになって作る
素直で従順な人は本来はものづくりに向いていないと思うのです。

世界でただひとつ自分のためだけに作られたジュエリーに、
ここまでの知恵と工夫と情熱と愛が込められているなんて、
素敵だと思いませんか?

ところで、週の半分以上を過ごしている山梨ではどんな生活を?
「敷地内に小さい畑もありますし、
竹林もある田んぼに囲まれた山のなかで暮らしています。
午前は仕事に集中し、午後は山菜、梅、真竹、野菜、葡萄、天然茸、
栗など季節季節の品の収穫と調理と保存など、
山里の恵みを余すことなく享受して味わい尽くすということに従事。
と言いたいところですが、
実際は仕事に結構追われていることも多いですね(苦笑)」

「今でこそ田舎生活は憧れとなっていますが、
体力も継続力もいるので離れていく方は多いです。
私は知力も体力も並だしさりとても大した努力家でもない。
でもその分、想像力と工夫力で自分に欠けているものを補いながら生きています。
リフォームジュエリーも同じで、
限られた材料で創作しなければなりません。
ですがその際、お持ち込みになられるジュエリーは、
何一つ余すところなく活用して
一つの作品に仕上げる様に心がけています。
万事もったいながり屋の私にとっては天職のような気もします」

小出さんの作品もさることながら、
このお人柄の魅力にお客様も惹かれるのでしょう。

11月は個展もあるので、ぜひお立ち寄りくださいね。
小出さんはずっと在廊していますよ♪

ayuKoide アート&ジュエリー展
11/8(火)~11/13(日)
11:30~19:00(最終日は~17:00)

会場:ギャラリー・パウゼ
新宿区市谷船河原町9
会場電話番号:03-3269-5007

神楽坂のサロンには木曜か金曜に週に2日ほど滞在。
予約制なのではじめての方は勇気がいると思いますが、
小出さんの気さくなお人柄に緊張なんて一瞬で吹き飛びますよ〜!
「チェーンの修理からでも相談に乗りますよ!」とのことです。

サロン:
新宿区神楽坂4丁目-5(詳細は予約時に伝えます)

アトリエ:
山梨県北杜市白州町横手1722番地

小出さんへの連絡はこちらまでどうぞ♪
ayukoide0101@gmail.com
090-4952-2383

 

取材・文=樺山美夏