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神楽坂の気になる人たち

2017.03.26 南米音楽と横浜ベイスターズと私。大洋レコードの伊藤亮介さん。

神楽坂にお店を開いて12年目になる大洋レコードさんは、知る人ぞ知る南米音楽専門のCDショップ。
選りすぐりのタイトルを直輸入販売し、タワーレコードやHMVなどに卸したり、国内盤の製作も手がけています。

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伊藤亮介さん。手に持っているのは大洋レコードで昨年一番売れたCD『FABIO CARAMURU 』。ソロ・ピアノと自然界の虫や鳥たちの鳴き声の対話という異色の作品です。

店長の伊藤亮介さんは、学生時代からギター片手にバンド活動を続けてきたミュージシャンでもあります。

「高校時代はボウイのカバーをやっていました。好きな番組はベストヒットUSAで、渋谷系のはしりで宇田川町のレコードショップに通ったりして。音楽漬けの毎日でしたね」

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バンド時代に知り合った奥様の志保さんとは夫婦デュオとしても活動しています。

でも当時はまだ仕事と趣味は別だったようで、恵比寿のアパレル会社に就職。オリーブ少女向けのアパレルの営業をしていたそうです。代官山にあるショップはフレンチ一色で、伊藤さんはBGMで流すフレンチポップスのアナログを買いあさったり。流行の先端をいくお洒落な仕事をしていたわけですが……。

店舗の施工管理まで任されたおかげでインテリアに興味を持ち、なんとメーカーを辞めて家具職人の見習いに。ところが技術を身につけてないと小間使いで終わってしまうと知り断念! 職業技術専門校で一年間内装の勉強をして転職した内装会社は超ブラック企業で、散々な目に遭ったそうです。

「一応、その頃の名残でこのお店の棚は全部自分でつくりました(笑)」

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気になるCDを試聴しているとあっという間に時間が過ぎます。

その次にようやく足を踏み入れたのが音楽の世界でした。ヴァージンメガストアのバイトでワールドミュージックを担当したあと、キングレコードの子会社に転職。ブルース・ジャズからワールドミュージックの輸入まで手がけるようになります。

社会人になってもずっとバンド活動は継続してきた伊藤さん。“本道は音楽、仕事は生活のため”と割り切っていたものの、「好きなものだけで勝負したい!」という気持ちが強くなり30歳で独立を決意。「ノルマとか会議が嫌いだった」というのもよ〜くわかります! 私も脱サラ組ですから。

日本ではまだまだ認知度が低いジャンルで勝負することに、不安や迷いはなかったのでしょうか?

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女性好みの作品も多いんですよ!

「むしろマイナーだからこそやりがいがあるというか。どこにでも売っているCDでは勝負になりませんから。南米音楽専門にしたのはやっぱり好きだから。ピエール・バルーが(映画『男と女』で一躍有名になった俳優)、ブラジルで『サラヴァ』というドキュメンタリー映画を撮っているんですけど、海辺のレストランで演奏するシーンがものすごくよくて。それがきっかけで南米音楽が好きになりましたね」

大洋レコードのホームページを見ると、伊藤さんの南米音楽愛がビンビン伝わってきます。

店内にも所狭しと並んでいるCDはどれも試聴が可能!南米音楽といえばサンバやボサノバぐらいしか知らなかった私も、伊藤さんの思い入れたっぷりのレビューを読んで思わず衝動買い(笑)。伊藤さんに「こういう音楽が好きなんですけど」と相談すると、「これなんかいいですよ」とササッと何枚か持ってきてくれます。伊藤さん、オススメ上手なので3枚も買っちゃいました〜。

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『バー・ブエノスアイレス カルロス・アギーレに捧ぐ』とマリア・リタ、リヴィア・ネストロフスキーの新譜。

以前は神楽坂の目抜き通り沿いのビルにあった大洋レコードさん。この神楽坂のはずれに移転してから6年ほど立ちますが、客層や売れ筋に何か変化は感じますか?

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神楽坂駅から徒歩2分ほど。入り口横にはテラスもあります。

「開店当初は、ふらっと入ってきて聴きやすい曲を買ってくれるお客さんが多かったですね。それが徐々に、南米音楽好きだけが買いにくる専門店になってきました。

震災後は特にそう感じますね。あれ以来、音楽への関心がなくなった人って結構多いと思うんですよ。それでもやっぱり音楽が好きで、普段から南米音楽を聴いている方にご来店いただいています。うちはメランコリーな曲をたくさん扱っているんですが、震災のあとはそういう曲の売れ行きが伸びました。なかでもアルゼンチンのカルロス・アギーレの人気に火がついたおかげで、静かなコンテンポラリー音楽が一気に広まりましたね」

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お店の入り口のガラスケースには伊藤さんオススメのCDが。レビューに魂込めてます!

他の音楽にはない南米音楽の魅力とは?

「やっぱり根っ子にあるものが違うんですよね。リズム感覚が。静かな音楽でもフォルクローレ(ラテンアメリカの民族音楽やそれをベースにしたポピュラーソング)独特のリズムがあって、基本的に複合リズムなんですよ。3拍子と4拍子が混ざり合っていて、そこにメロディをのせるから、日本人が聴いたことのない旋律とかハーモニーなんです」

ふむふむ。面白いですね。南米といえば、日常にあるものとないものが融合したガルシア・マルケスの『百年の孤独』に代表されるマジック・リアリズム文学も有名です。

ところで、大洋レコードの「大洋」と「くじら」のマークってやっぱり大洋ホエールズの?

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大洋レコードのマーク入りTシャツなども売ってます。

「そうです。ずっと横浜ベイスターズファンなんですよ。98年に優勝してからの長い暗黒時代も、応援のためせっせと球場に行ってました。あんなに不器用で人情味あふれる野球ないですよ。ファーストにきたボールをとれなかった選手が2軍に落とされたり、フェンスに飛んできたボールを取りにいった選手が、扉が後ろに開いて消えたり(笑)。

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ベイスターズ関連の書籍、グッズ、ポスターも、南米音楽にまぎれて存在感を放っていました。

負け続けても楽しい人生に活路を見出しているところもいいですよね。去年はにっくき巨人に勝ったのでスカッとしました。ファンの集いがあったときはボランティアで応援歌を斉唱しましたよ。弾き語りで」と、ベイスターズの話になると楽しそうに語り出す伊藤さんでした(笑)。

「こどもが二人いるので家内も外仕事に出ていますが、好きなことしかやっていないですね」と伊藤さん。昔ながらの商店のように、家族といつでも話せる距離に居るのも素敵です。

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仲良し夫婦です♪

大洋レコードでは不定期でライブやイベントも開催しています。

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2016年12月に開催した店舗テラスでのライブイベントではSaigenjiさんの生演奏も!盛り上がりました。

音楽好きの方、そしてベイスターズファンの方、ぜひ店舗とWEBサイトのほうを覗いてみてくださいね♪

大洋レコード
所在地: 〒162-0805 東京都新宿区 矢来町139
電話: 03-3235-8825
http://taiyorecord.com

 

 

取材・文=樺山美夏